クリエイターは脊髄反射的な感想を無視するべきではないということ

オモコロ あたまゆるゆるインターネットという記事を読みました。

確かにあからさまな悪口はどうかと思います。ですが、次の意見には同意できません。

「良い意見ばかり聞いていたら、作品がどんどんダメになっていくのではないか?」という声もあります。

たしかにそうかもしれません。

しかし、それは「○○の部分は良かったが、もう少し○○の要素を入れてみたらもっと良くなると思う」といった、具体的な意見だった場合。

そういう具体的な意見は、とても素晴らしいことだと思いますし、参考にするべきです。

しかし、「おもんない」「無理」「意味わからへん」「惜しい」というような書き込みの場合はどうでしょうか?

おもんない理由、無理な理由などが一切書かれていない意見の場合は、参考にしようがありません。

(中略)

申し訳ありませんが、私はそういう人たちの意見は、おもんない、無理、意味わからへん、と思います。(人間的に)惜しい。

つまり、ここでも「相手にするだけ無駄」という結論に行き着きます。

ここでは悪口だけでなく「脊髄反射的な感想」も否定しています。これは違うと思います。

例えばアニメにおいてはプロット、脚本、声優の演技、絵コンテ、原画、動画、音響効果、撮影といったいろんな要素が複雑に組み合わさって作品を構成しています。その一つ一つに高度な技術が関わっていて、それらの組み合わせにおいても高度な技術が要求されます。なんでそんなたくさんの高度な技術がいるかと言えば、受け手に作品を面白いと感じて欲しいからです。それ以外に理由はありません。

面白いと思われるために努力をしていたのだから、面白いと言われれば努力は成功に繋がったことになり、言われなければその努力は失敗に終わったことになります。その言葉は途方もない努力の結晶と言えるでしょう。脊髄反射的な反応は信頼できないという人もいるかもしれませんが、少なくとも普通の娯楽作品は深く考えずに楽しむための物なのだから、脊髄反射的な反応がその作品の評価をもっとも忠実に反映してるといえるでしょう。それが参考にならないという人は一体何のために作品を作っているのでしょうか?

もう一つ、元記事では感想に理由をつけることを重要視しています。これも完全には同意できません。例えば、上で言ったようにアニメではたくさんの高度な要素が複雑に組み合わさっています。素人はその全貌を正しく理解していません。だから作画や声優の演技について話す人はたくさんいても、音響効果や絵コンテの構図はその重要性にも関わらず言及する人はほとんどいません。そういった要素をしっかり分析して作品を面白くできるのは監督レベルの人であって、素人には不可能なことだと言えます。作り手にとって重要なのは、そんな素人の分析よりも、先に言った「面白い」「つまらない」といった直接的な感想でしょう。(もちろん役に立つ意見もあるでしょうが、的外れな分析が多数派な場合が多いでしょう。)これはアニメに限った話ではありません。

この話は医者と患者の関係に例えられます。患者は自分の症状に対していろいろと分析するでしょうが、医者はあまりそれに耳を貸さないのが普通です。その一方で症状に関しては真剣に聞き、正しい分析を自分で導き出します。ここにおいても重要なのは受け手の分析ではなく受け手の直接的な反応(症状)です。

元記事ではクリエイターがネットの悪口を無視することが推奨されていますが、悪口はともかくこういった「脊髄反射的な感想」は無視するべきではありません。確かに否定的な反応を受けることは痛みを伴います。ですがその原因は楽しませることができなかった自分にあるのですから、その痛みは受け入れるべきものです。その痛みを乗り越え、受け手を楽しませることができるようになったとき、そのクリエイターは一歩成長したといえます。その痛みを恐れてずっと自分にとって心地いい世界にとどまっていては、人を楽しませることは永遠にできないでしょう。

論理的に正しくある程度リテラシーのある人なら誤解の余地のない文章が理解できないのは読者が悪いのか

はてなブックマークは図書館の本にハナクソをつけることと同じという記事を読みました。

誤読に基づいたブコメの批判が迷惑だ、という内容です。特にその批判を行うことによって優越感を得るような行為を批判しています。

気持ちはわかります。俺も前の記事のでいくらなんでもないだろうというブコメを受け取りました。

ですが元記事のような考え方は俺はあまりよくないと思います。

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悪ふざけのツイートを拡散させている奴もクズであるということ

twitter炎上問題ってありますね。知らない人はソーシャルメディア炎上と「うちら」問題をはてなブログを中心にまとめてみたらすごかった ― 8月第2週のブックマーク数ランキング - 週刊はてなブログでまとまってるんで見てください。

まず始めに言っておきますが俺は悪ふざけをしたバカを擁護するつもりはありません。悪いことは悪いことだし罪はきちんと償われるべきです。

ですがこの問題についての議論を見て思うのが、情報を拡散させた人間が全く注目されていないということです

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